週末の夜、ひとりでゆっくり映画を観る時間って、ちょっとしたご褒美ですよね。
仕事で削られたメンタル、週末に少し回復しておきましょう。
今回紹介するのは、ちょっと変わったSF映画。
『VESPER』です。
荒廃した地球で、14歳の少女ヴェスパーが生き抜く物語。
ただし、よくある「世界が滅びました」というSF映画ではありません。
遺伝子工学によって壊れてしまった自然。
食料を独占する巨大な都市。
そして、そんな世界を変えようとするひとりの少女。
派手な宇宙船や巨大ロボットが登場するタイプのSFではありません。
むしろ、荒れ果てた森や奇妙な生物をじっくり見せる作品です。
でもね……。
この世界観がめちゃくちゃ面白い。
いわゆるSF映画の大作とは、ちょっと違います。
でも、こういう変化球のSFが意外と面白いんですよ。
『VESPER』はどんなSF映画?【ネタバレなし】
舞台は、環境危機を解決するために使われた遺伝子技術が失敗し、
地球の生態系が大きく壊れてしまった未来です。
食べられる植物や動物は激減。
人類も大きく数を減らし、生き残った人々は厳しい環境で暮らしています。
そんな世界で暮らしているのが、少女ヴェスパー。
父親のダリウスと森の中で暮らしながら、
植物を育てたり、生物を研究したりしています。
ヴェスパーは、ただの少女ではありません。
遺伝子工学の知識を使って、植物を育てようとしているんです。
一方、空には「シタデル」と呼ばれる巨大な都市が存在します。
シタデルには豊富な食料や高度な技術があります。
しかし、外の世界で暮らす人々は、シタデルから供給される種子に頼るしかありません。
つまり、この世界では「食料を作る力」そのものが支配力になっているわけです。
そんなある日、ヴェスパーの近くにシタデルの船が墜落します。
そこで彼女が助けたのが、カメリアという謎の女性。
この出会いによって、ヴェスパーの人生だけでなく、
世界そのものを変える可能性が動き始めます。
『VESPER』が面白い最大の理由は「世界観」にある
① 「世界が滅びた後」をこんなに不気味に描くSF映画は珍しい
ポストアポカリプス映画というと、
廃墟になった街や大量のゾンビを思い浮かべる人も多いと思います。
『VESPER』は、少し方向性が違います。
人間が作った技術によって自然そのものが変質してしまった世界。
森の中には、普通の植物とは思えない不思議な生命体が存在します。
ヴェスパーが暮らす森も、決して安心できる場所ではありません。
美しいようで、どこか気味が悪い。
生き物がいるのに、生命力を失った世界にも見える。
この「美しいのに不穏」という雰囲気が、とにかく独特です。
ハリウッドの大作SFはひと通り観てきた。
そろそろ、少し変わったSF映画も観てみたい。
そんな人にこそ、『VESPER』はおすすめです。
② 「食べ物がない」ではなく「食べ物を作れない」という怖さ
『VESPER』の世界で怖いのは、単純に食料が不足していることではありません。
食料を作るための技術を、シタデルが握っている。
外の人々はシタデルから種子を手に入れます。
しかし、その種子は一度しか収穫できないように仕組まれています。
つまり、食料を作っているようで、
実際にはシタデルに生殺与奪を握られているわけです。
これが地味に怖い。
銃で脅されるより、
「食べ物を作る方法は教えません」と言われるほうが怖かったりする。
大人になって観ると、
「技術を持っている側が強い」という構造にも気づかされます。
③ 主人公が「戦う少女」ではなく「作る少女」なのがいい
SF映画の主人公というと、銃を持って敵と戦う人物を想像しがちです。
ヴェスパーは違います。
彼女の武器は、銃ではなく知識と好奇心です。
植物を観察し、実験を繰り返し、
どうすれば新しい生命を生み出せるのかを考える。
世界を救うために必要なのは、
必ずしも強い武器とは限らない。
「知っていること」が武器になる。
この設定が、なかなかカッコいいんですよ。
『VESPER』はディストピア映画としても面白い
文明が崩壊した世界や、管理された社会を描く映画が好きなら、
『VESPER』の独特な世界観はきっと刺さります。
なぜなら、この映画では「自由な世界」と「豊かな世界」が一致していないからです。
シタデルの中に入れば、食料も医療もある。
外の世界より、はるかに安全に暮らせます。
だからヴェスパーたちにとって、
シタデルは一種の「楽園」に見えるんです。
ところが、物語が進むにつれて、
その楽園にも大きな問題があることが分かってきます。
豊かさを維持するために、
外の人間を支配しているからです。
「安全な場所に入れば幸せなのか?」
「豊かさのためなら、自由を失ってもいいのか?」
そんな問いを、説教臭くなく物語の中に仕込んでいます。
カメリアとの出会いが、ヴェスパーの世界を変える
ヴェスパーが助けた女性、カメリア。
彼女はシタデルからやってきた人物なので、
ヴェスパーにとっては「憧れの世界」への入口でもあります。
カメリアは、ヴェスパーにシタデルへ連れていくことを約束します。
ところが、カメリアには大きな秘密がある。
ここから『VESPER』は、単なるサバイバルSFではなくなっていきます。
「人間とは何なのか?」
そんなテーマまで、物語に入り込んでくるんです。
ここから『VESPER』の重要な展開をネタバレします
ここからは映画の重要な展開に触れます。
まだ観ていない人は、先に本編を観るのがおすすめです。
ネタバレを表示する
ヴェスパーはカメリアと行動する中で、彼女の正体に気づきます。
カメリアは人間ではありません。
シタデルで作られた人工生命体「ジャグ」だったのです。
しかも、普通のジャグとは違います。
人間のような外見を持ち、感情まで備えています。
カメリアを作ったのは、シタデルの科学者エリアス。
人間と同じように感情を持つジャグを作ることは、シタデルでは禁じられていました。
そのため、エリアスとカメリアはシタデルから逃げようとしていたのです。
ところが、2人が乗った船は墜落。
エリアスはヴェスパーの叔父ジョナスに殺されてしまいます。
ヴェスパーはカメリアから採取したサンプルを使い、
シタデルから手に入れた種子を研究します。
そこで彼女は、種子に仕込まれた仕組みを解除できる可能性に気づきます。
もし種子を自由に繁殖できるようにできれば、
シタデルから種子を買わなくても食料を作れる。
つまりヴェスパーは、シタデルが握っていた食料の支配力そのものを壊せる可能性を手に入れたわけです。
ところが、ジョナスがその秘密を知ってしまいます。
ヴェスパーとカメリアはジョナスを押さえ込み、
種子と食料を渡す代わりに、自分たちを放っておくよう取引を持ちかけます。
しかしジョナスは約束を守りません。
彼はシタデルに連絡し、カメリアの存在を知らせてしまいます。
やがてシタデルの兵士たちがヴェスパーの家を襲撃。
父親のダリウスはヴェスパーを逃がすために残り、
家の発電装置を利用して兵士たちを足止めします。
そしてカメリアも、ヴェスパーを逃がすために自ら残ります。
ヴェスパーは大切な人たちを失い、ひとりになってしまいます。
最初は、手に入れた種子を埋めてしまいます。
世界を変えたところで、一緒に喜んでくれる人がもういないからです。
しかし、その後ヴェスパーはジョナスのもとにいた子どもたちと行動を共にします。
そして最後に、ヴェスパーは種子を持って塔の頂上へ向かいます。
そこで彼女が選んだのは、種子を自分だけで抱え込むことではありません。
風に乗せて、世界中へ放つ。
シタデルに頼るのではなく、
自分たちの手で未来を作るためです。
世界はまだ荒廃したまま。
すべてが元通りになったわけでもありません。
それでも、ヴェスパーは最後に「何かを作る側」へ回ります。
このラストが、この映画の一番好きなところです。
『VESPER』のラストが意外と前向きでいい
『VESPER』は、かなり暗い映画です。
人間は減り、自然は壊れ、食料も自由には作れない。
しかも、主人公の周囲にいる人たちまで次々と失われていきます。
それなのに、ラストで感じるのは絶望だけではありません。
ヴェスパーは、シタデルに入って人生を変えてもらう道を選びませんでした。
「自分たちの未来は、自分たちで作る」
最後に種子を風へ放つ行動は、まさにそんな決意に見えます。
何もない荒野に種をまく。
すぐに結果が出るわけではありません。
本当に植物が育つ保証だってない。
それでも、ヴェスパーは種をまく。
この「結果が分からなくても、とりあえず未来に投げる」という感覚が、
大人になって観ると妙に刺さるんですよね。
『VESPER』はこんな人におすすめ
- ハリウッド大作とは違うSF映画を観たい人
- 独特な世界観のSF映画が好きな人
- ディストピア映画やポストアポカリプス映画が好きな人
- 遺伝子工学や人工生命を扱ったSFが好きな人
- 「人間とは何か?」を考えさせられる映画が好きな人
- 映像や世界観で映画を楽しみたい人
- 少し暗めだけど、最後に希望が残る映画を観たい人
『マッドマックス』のような派手なSFアクションを期待すると少し違う
ひとつ注意したいのは、アクション映画として観る作品ではないこと。
『マッドマックス』のような激しいカーアクションや、
『スターシップ・トゥルーパーズ』のような大規模バトルを期待すると物足りないかもしれません。
『VESPER』の面白さは、
「この世界はいったいどうなっているんだ?」と考えながら観ることにあります。
映画の中にある情報を少しずつ拾いながら、
世界の仕組みを理解していくタイプのSFです。
『アイ・アム・レジェンド』のような終末世界が好きなら
「人類が減少した世界」や「文明崩壊後の地球」が好きなら、かなり相性がいいです。
ただし『VESPER』は、ひとりで怪物と戦うサバイバル映画ではありません。
生き残ることに加えて、
「壊れてしまった世界をどう再生するか」まで描いています。
だから、ポストアポカリプス映画おすすめ作品を探している人にも、
少し変化球としておすすめできます。
『VESPER』は「面白いSF映画」を探している人に刺さる
『VESPER』には、誰もが知っているスター俳優が大量に出てくるわけではありません。
巨大なセットを使った派手な映像が続くわけでもありません。
それでも、映画を観ていると妙に引き込まれる。
その理由は、世界そのものに謎があるからです。
なぜ植物はこんな姿をしているのか。
なぜシタデルは種子を独占しているのか。
なぜカメリアは作られたのか。
ひとつずつ分かってくるたびに、世界の見え方が変わっていきます。
「面白い洋画SFを観たいけど、定番作品はもう観た」
そんなときに、かなりちょうどいい一本です。
仕事で疲れた夜って、何も考えずに派手な映画を観たくなる日もあります。
でも、ときどきこういう映画もいいんですよ。
静かな世界観を眺めながら、
「自分だったら、この世界でどうするかな?」なんて考えてみる。
そういう時間も、意外といい気分転換になります。
※配信状況・無料体験の対象は変更される場合があります
まとめ|『VESPER』から学べる「未来を作る」という考え方
『VESPER』は、ただのポストアポカリプスSFではありません。
世界が壊れてしまったあと、
「誰かが何とかしてくれる」のを待つのではなく、自分で未来を作ろうとする物語です。
ヴェスパーは、最初から世界を救えるほど強い少女ではありません。
植物を育て、実験を繰り返し、
失敗しながら少しずつ答えを探していきます。
仕事でも同じですよね。
「会社が変わればいい」
「上司が分かってくれればいい」
「誰かが助けてくれればいい」
そう思っているうちは、なかなか状況が変わらない。
ヴェスパーが最後に種を風へ放ったように、
自分で小さくても何かを始めることが、未来を変えるきっかけになる。
これが『VESPER』から持ち帰りたい、一番のライフハックです。
仕事でいきなり世界を変える必要なんてありません。
面倒な仕事をひとつ片付ける。
言えなかったことを一言だけ伝える。
明日のために、少しだけ準備しておく。
そんな小さな「種」をまいておけばいい。
もしかしたら、すぐには何も変わらないかもしれません。
でも、まかないことには何も生えてきません。
……まあ、40代のおっさんが急に種まき始めたら、
家族からは「何を育ててんの?」って聞かれると思いますけど(笑)。
それでも、たまには未来のために種をまいてみましょう。
『VESPER』は、暗い世界を描きながら、最後にはちゃんと「希望」を残してくれるSF映画です。
独特な世界観のSF映画を観たい夜。
定番とは少し違う面白い洋画SFを探している夜。
そんな日に、ぜひ選んでほしい一本です。
では、また!


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